『薔薇王の葬列』考察ブログ〜ヨークの狼少年〜

今ハマっている漫画『薔薇王の葬列』について好き勝手言うブログです。

何で自分じゃダメなの??? 父上やヘンリー以外では無理な理由を考えてみた

※本記事は単行本15巻までのネタバレを含みます。(しょっぱなから全開)

また、16巻発売まではセリフや直接的な引用は避けるようにはしていますが、70・71話を読了したうえで執筆しているため、そっちも微妙にネタバレになっちゃってるかもしれません。単行本派の方はブラウザバックor最後の2項目を見ないことをおすすめいたします。

※個人の意見や勝手な想像を多分に含みますが、右京さんのように鋭い人間ではないので間違った解釈になっているかもしれません。あくまでも個人の意見としてご参照ください。(おのれセシリーって言いたいだけです

 

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……こんばんは。唐突ですが、今まで薔薇王を読んできて、ふと「何でリチャードは愛してくれる優しい(?)人たちに囲まれているのに、父上やヘンリーにこだわってしまうのだろう」と思ったため、今回は「そのキャラだと駄目な理由」を考えていこうと思います。

※ヘンリーを除外しているのは一応7巻で告白しており、現在も執着しているからです。

(いつもの通り(!?)さわりだけ書いて少しずつ追記していく形にしようと思います。ご了承ください。)

 

 ★長いので目次を付けました!★

 

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1.エドワード(ランカスター)

理由①:「そもそも誰?」状態だったから

理由②:本当は「現実逃避」だったから

 

(前置き) 1巻で胸を見てしまった時からリチャードに興味津々だったエドワード王子でしたが、敵同士という境遇や、リチャードの天災的な鈍感さから最後まで正体を明かせず、片想いに終わってしまいました。4人の中では一番「好きだったのは分かるけど、まあしょうがないよね」ってポジションなんじゃないかと思います(理不尽レベルがまだマシな方)。

 

(メイン) こっちに関しては個人の勝手な見解なのですが、エドワードは「リチャードで現実逃避しようとしてただけ」って面もあるのではないか……と読んでいて感じました。

 彼が惚れたポイントは、1巻で「リチャードを女性だと”確信”した」時ではなく、「初めてじゃない 捨てられるのは――――」(2巻第5話)と悲しそうに言っていた時なのではないかと。その時に、「父親に見てもらえず、母親に構って貰えない自分」と、母親に棄てられたリチャード」を重ね合わせていたのではないでしょうか。

 また、「絶対に俺を見ようとしない」(6巻第23話)”彼女”に認めてもらうことで、自分が「誰かに見てもらいたい」という欲求を満たそうとした(つまりリチャードは心の逃避先でしかなかったのだと思います。

 よく知らない女の子に想いを馳せることで、寂しさを埋め合わせながら必死に生きていたのだと考えると……健気さが痛々しいですね。

(あと言動がもろアダルトチルドレンのヒーロータイプなのも……)

 

……そんな彼が第28話で一番最初に思い出していたのはマーガレットでした。ぶっちゃけ一番見ていて欲しかったのは母親だったんだろうなぁ……

 でもその母親はエドワードを愛していたからこそきつく当たるしかなかったわけで(この点がリチャードと対極なのが印象的です)……どこまでも報いがないですね。

 

 貴方は本当に優しい人だよ!

(誰とは言いませんが浮気しないし吞んだくれないし、ちゃんと守ってくれる(政敵にならない)し、職務放棄もしないし、「本当は別の人が好きです! 愛してないけどお友達でいましょう(要約)」って言われても怒らない(寧ろ友達って言われて喜んでる)し……薔薇王の「夫」界だったら絶対キングになれrゴホンゴホン)

 

……何か話がそれちゃったので次に行きましょう。

 

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2.アン

理由:「女」だったから

 

 あのリチャードに「一緒にいると心が穏やかになる(4巻第13話)」と感じさせ、子供時代の話をさせるレベルまで仲良くなったこともあったアン氏でしたが、とある思い違いから彼に疑念を持たれ、突き放されてしまいました。

 正直読んでいて(バッキンガムが裏切った時は最後まで信じようとしていた・ケイツビーに至っては裏切るという発想すらなかったのに対して)アンだけ疑ってから突き放すまでの判断が早急過ぎる気がしたのですが、これは「彼女が女性だったから」ではないかと思っています。(詳細は下で!)

 

~「女」だとダメな理由~

その①:絶対に「女の部分」を愛して貰えないから

 例えどんなに「一緒にいて安らげる」良い子だったとしても、アンと結ばれた場合、彼女が「リチャードを男性として愛する」ことは避けられません。そうすると男性としてしか振舞えなくなり、今まで秘匿してきた”彼”の女性的な面は「全否定」され、「女の自分」を”愛して”もらう機会を放棄することになってしまいます

(アンの性格上「秘密」を知っても受け入れてくれた気がしますが、それでも「女性に女性の面を受け入れて貰えるはずがない」とすぐに蓋をしてしまったのだと思います。)

 

その②:母上と重ねてしまうから

 リチャードが最初に接した女性は残念ながらセシリーであるため、そもそも女性自体に良い感情を抱いていません。(玉の輿狙いの人たちも見てきているので、それで拍車がかかっている面もと思います)

 時には受け入れてくれず、時には理不尽に引っぱたく。挙句の果てに「悪魔の子」と言い聞かせて森に棄てに行くような人が「女性の基準」になってしまっているわけです。「きっと 母上とは違う(4巻第14話)」という言葉がそれをよく示しています。

 この言葉は「一度は人を信じてみる気になった良い兆候」にも見えますが、結局「アンを母親と重ねてしまってしまっている」ことに変わりはありません。だから夢の中でもアンはセシリーに変わり果て、すぐに「愛してくれない人」認定してしまいました。

 

 ……というように、上記の事情から「女性」であった時点でアン氏はかなり不利なスタートラインに立っていたと推測できます。

 

 とはいってもあんなに良い子めったに居ないんだからもっと信頼してあげなさいよ!!!!!! と言いたい。

(だって旦那が親友にベッタリ状態なのに愚痴一つ言わないで息子をパパっ子に育てあげるって相当ですよ……貴方はもうちょっと怒っていいとおm)

 

……次、行きましょうか←

 

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3.ケイツビー

理由①:優し過ぎる&付き合いが長過ぎて恋愛対象として見れないから

理由②:リチャードと自身を重ね、現状(共依存)に満足しているフシがあるから

 

(前置き) セ〇ムなんですか? って位にリチャードを窮地から救い、お守りしてきた、そして着替えの際裸を見ようともバッキンガムにマウントを取られようとも平静を取り繕ってきた彼ですが、優しすぎるが故にリチャードの核心を捉えることができません。それどころかドラ〇もんの如くこき使われたり、ネネちゃんのウサギさんよろしく八つ当たられたり……いう地獄の地獄みたいな状況に置かれています。

 (他記事でも書きましたが)逆に考えれば「めったに心を開かないリチャードが当たり散らせる」レベルで信用されている……という、ある意味高ポジションに居るともいえます。しかし「恋人候補」というよりは「家族」(帰ってこない父と愛してくれない母の代わり)になっちゃってる感が否めません。

 リチャードが「この男を失うことを想像したことすらなかった(11巻第46話より引用 ※便宜上語順等を変更しております)」と思っている辺りもう「居るのが当たり前」になってしまっており、恋人フェーズに今更持って行くのは至難の業だと思われます。

 

(メイン) しかし、彼は思いが報われないということが分かっていてもリチャードについていく覚悟を決め、主人ですら手にかけてしまいますが……これってただ「好き!」「愛してる!」って感情だけじゃ無理な気がするんです。

 ここからは勝手な憶測になってしまうのですが、個人的には「ケイツビーはリチャードに自分を重ねている」のではないかと思いました。本編で描かれているわけではありませんが、彼にもまた、ヨーク公に拾われるまで身寄りのない(愛されない)境遇に置かれていた時期がありました。また、仕官した後(本編)でも(中世イングランドにおいて)特徴的な肌の色で「異質な者」とみなされています。

 

「その肌は異国の血? …旅人は好きよ」(8巻第35話 byジェーン)

「――お前の生まれた国が何処だろうが~」(9巻第36話 byバッキンガム)

「その肌ァ流れモンだろォ!」(9巻第37話 byやたら記憶力のいいオッサン)

 

 ……などと好奇な目で見られ、差別的な言葉を浴びせられていました。でも、一人だけ、

「ううん へんじゃない」(10巻第45話)

 と言ってくれた子がいました。リチャードです。

 

 ”異質”な体で傷ついているはずなのに、唯一自分を「肯定」してくれた方

だからこそ、生涯の忠誠を誓うだけでなく、「自分と重なる”異質な彼”をお支えする」ことによって、幸福を得ようとしているのではないでしょうか。ある種リチャードに縋っている面もあると思います

 

 14巻の最後でバッキンガムがリチャードを監禁したときケイツビーが助けに来なかったら、(バッドエンドではありますが)”彼女”は”幸せ”になれたかもしれません。それでも”助けて”しまいました。

……邪推なのですが、あの時「お救いしたい」だけでなく「あの方と共に居られないのは耐えられない(お支えできるのは私だけ!)」というドス黒い感情も、心の奥底で抱いていたのではないでしょうか。また、バッキンガムに対する嫉妬も多少あったんじゃないかと思います(あんなにマウント取られてたらしょうがない気もs)。

 

 11巻の第47話でリチャードは「お前を地獄に堕とし 安堵している」と心の中で言っていましたが、上記の理由から、実はケイツビー自身も「(自ら地獄に堕ちる)リチャードを更に地獄に堕とし 安堵している」(ことに満足している)のだと勝手に推測しています。

んんん業が深い!!!!!!(※注:個人の見解です。)

 

 

 では、最後はあの人で締めましょうか……! 

 

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4.バッキンガム

理由①:リチャードの女の部分しか見えていなかったから

理由②:リチャード自身も彼を「自分を愛するための”理由”」として利用していたから

 (※②に関しては個人の勝手な憶測です)

 

 リチャードの「女の部分」を愛し、ついには「半身」と言わしめたバッキンガムでしたが、「王冠」やその他諸々のしがらみ故に努力も空しく、袂を分かつ結果となってしまいました。バッキンガム視点でいえば、「リチャードが全てを捨てて一緒に歩むことができれば、幸せになれた」はずなのに、です。

 

 ただ、彼は根本的にリチャードを誤解している部分がありました。それはリチャードは半分は「女ではない」ということです。男として育てられ、男として戦場に立ち、男として王を目指してきた”彼”には「今まで男として生きてきたプライド」があるので、”彼女”は根本的に「自分の女性的な面が大キライ」なのです。男に縋ってしまうのも、子供を産み落とすのも嫌なんです。

 

 それ故に、エドワード(子)はリチャードにとっては「”父親”として慕ってくれる”息子”(必要)」でもバッキンガム視点だと「初恋の人の孫=リチャードがヘンリーにまだ恋しているかもという疑惑の種(イラネ)」でしかないし、お腹の子どもも「二人の愛の結晶(必要)悪魔の身体に下った罰(イラネ)」という、正反対の解釈になってしまい、すれ違いが生まれてしまいました。

 でもバッキンガムはリチャードを「最愛の女性ひと」としてしか見ていないから"彼"の感覚が分からない。

 リチャードも「半身なら、男の部分も分かってくれている」と信じて疑わないので半身の気持ちが理解できない。

 

 「全てを捨てて、女性として俺と一緒に居て欲しい!」という言葉は、バッキンガムにとっては「恋人をしがらみから解き放つ愛の告白でも、リチャードにとって、それは「男性としての人生に終止符を打たせる死刑宣告でしかなかった……。だから(自分が必死に否定してきた)女性性をむき出しにして生きる事なんてできなかったのだと思います。

(まあ正直かなり自分勝手だとは思いm(そこが読み物として面白いところなので大好物))

 

 

  また、本人も無自覚だったかもしれませんが、リチャードは「バッキンガムを利用していただけだった」フシがあるのではないかと勝手に推測しています。

 前述の通り、リチャードは根本的に自分の女性的な面が大っ嫌いなのです。

 

 でも、そこに現れたのがバッキンガムだった。彼だけは、

・父上が娘として扱わなかった部分を

・母上が愛してくれなかった元凶の部分を

・ちぐはぐな体の原因となっている部分を

・アンに拒絶されてしまった(と思っている)部分を

・ヘンリー6世を愛してしまった部分を

「愛して」くれた。

 

 それを利用し、自分が認めたくない女の面をバッキンガムに愛して貰うことによって、自分を全肯定しようとしたのではないでしょうか。

 

……だから、「女の部分も愛せるようになりたい」という根本的な欲求さえ満たせれば、正直誰でも……っていう可能性が……あったのではと……邪推してしまいました。そう思うと(※あくまでも個人の勝手な憶測です)バッキンガムもかなり……不憫ですね……。

 いずれにせよ、最初にして最愛の人リチャード・プランタジネットに人生を狂わされたという点では、二人とも同じだったかもしれません。

 

 

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まとめ

 ……結論から言うと、上記の事実と憶測から、主従関係等のしがらみがなく、(自分では愛せないから)「男の部分と女の部分」両方愛してくれることがリチャードのハートを射止める最低限の条件だと推測できます。

 故に1巻第3話の「君が好きだ!」はそんな彼の全欲求を満たすのに、最もベストな言葉だったと思われます。

 

 書いていて思ったんですけど……

 いや、少女漫画にマジレスしちゃうのもアレなんですけど……

 一言だけ言わせてください。

「リチャード、君は少し『妥協』という言葉を覚えた方が良い」

 

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 まあでも、妥協できなくなっちゃったのは……

 まともな子供時代を送れなかったのは……

 女性不振になっちゃったのは……

 過度なコンプレックスを抱えるようになっちゃったのは……

 女性性を忌避するようになっちゃったのは……

 

 全部、あのお方のせいだから……というか本当に愛して欲しかったのは貴女だと思う。

 それではご一緒に。

「おのれセシリー」 

 

 

 

 

(最新15巻とっても……面白かったです)